マダム・ジジからの手紙
フランス・ロワール地方の古城に暮らす伯爵夫人、マダム・ジジからプティ・セナクルへ届いたメッセージをご紹介しています。
クリストのインスタレーション「Floating Piers」
親愛なる皆様
今月の初め、イタリア北部のイゼーオ湖上でクリストのインスタレーション作品「浮く桟橋」を見る機会がありました。クリストと、最近亡くなった彼の妻 - ジャンヌ・クロードは、20世紀〜21世紀を代表する国際的なインスタレーションアーティストです。彼のプロジェクトは何百万もの人々を魅了しています。私は長年彼の作品に親しんでおり、これまでにも「Pont Neuf Wrapped」(1985)と「California Running Fence」(1976)を見ました。二つとも不朽のインスタレーション作品です。
しかしなぜ2週間にわたり1日あたり8万人もの人々がこのイベントに訪れたのでしょうか?
芸術的な場所だったから?
きれいだったから?無料だったから?
イーゼオ湖は簡単に行ける場所ではないにもかかわらず、多くの人々が押し寄せました。
インスタレーションは、深緑の湖上にサフラン色のテキスタイルで被われた橋が設置されており、驚くほど豪華でした。 訪れた人たちは非常に長い桟橋 − このイベントのために設置された水に浮かぶ橋の上を歩くのです。私はこの橋上の散歩が、イベントとして始まり、そして精神的な旅として終わったことに心打たれました。「水の上を歩く」ことは、ユダヤ・キリスト教文化(Judeo-Christian culture)において深い意味があります。人生のすべての歩みは、その時間や場所において唯一無二なのです。
このインスタレーションは私たちの湖景全体に対するとらえ方や湖の見方、私たちの湖上での物理的なあり方も変えたのです。
これはすべてのアーティストが意図することです。つまり、何かを提示し、たとえほんの短い時間であっても、それが私たちの知見全体を変えるのです。もし時間があれば、クリストのビデオを観て、この「浮く桟橋」に関する彼のコメントやこのような芸術に対する彼の優れた見解を聞くことを強くお勧めします。
https://www.nowness.com/story/christo-floating-piers-roberto-de-paolis-carlo-lavagna?utm_source=EM&utm_medium=EMA&utm_campaign=EMA&mc_cid=42153e5ff6&mc_eid=734fa9a0c9
Gianne
マダム・ジジ プロフィール
狩猟で有名な、ロワール地方、ソーミュールにほど近い「レ・ゾーベール」の森を所有する貴族、ド・ジュヌブライ伯爵夫人として消えつつある18世紀貴族の暮らしを今に残す生活を続けると同時に、アーティスト名、ハーパーでプロの画家としての制作も続けている。アメリカ、ヨーロッパ各地から個展を開催する傍ら、「SUNDAY」等のアートブックを出版。1990年、アメリカン・アカデミー・オブ・ローマ招聘アーティスト。
また、アメリカ独立戦争に関わった家族の末裔が中心になる活動「DAR」やロワール地方で毎夏開催されるイベント、オペラ・ボウジェ、等、音楽家や芸術家のパトロナージュを募る各種団体でメセナ活動を行っている。
『マダム・ジジに教わる〜フレンチ・マナーなおもてなし』
「Bon Chic vol.2 (別冊PLUS 1 LIVING・主婦の友社) 2010年3月」
『フランス的美生活』
「グレース(世界文化社)2007年10月号」
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