マダム・ジジからの手紙
フランス・ロワール地方の古城に暮らす伯爵夫人、マダム・ジジからプティ・セナクルへ届いたメッセージをご紹介しています。
SPRING 2013 San Clemente Journal
「 アーティスト GianneHarper
『表現とメッセージ』 」
カーサ・ロマンティカで初めての滞在型アーティストが地中海式庭園に光を放つ
すでに彼女は何を描くべきかわかっている。 描く対象を事前に決めることで、それを探すことに貴重な創造力を浪費しないようにしているのだ。
対象の前にイーゼルの脚を注意深くセットし、
手で張られた特大のキャンバスをそこに置く。そのキャンバスはパリで彼女が師事した名人たちのように自分でコーティングし、準備したものだ。
道具やリンシード・オイル、カゼイン、卵黄と配合した絵具を用意し、
まるで夕食の調理に備える料理人のように、彼女の「アーティストパレット」
の上で絵具を調合する。
太陽の光がちょうどよくなったとき、絵筆を取り上げ、パレットを見つめる。
そして食い入るように対象の内側を見つめ、制作を始める…
GianneHarperさんは南カルフォルニア出身のアーティスト。
カリフォルニア大学アーバイン校卒の生粋のカルフォルニア女性だが、
フランス人と間違われてもおかしくない。
この小柄なブロンド女性は正しいアクセントでフランス語で話し、
英語で適切な単語が思いつかないときはフランス語の単語を使うこともたびたびだ。
この24年間フランスに住んでいたことを考えると、当然だろう。
彼女はフランス人の教師の基で絵画を学び、フランス中のいたるところ、または イタリアやスイスでも 展覧会を開催している。
彼女はこのカーサ・ロマンティカにおける初めての「滞在型アーティスト」と なるが、 彼女にとってこの「滞在型アーティストになる」ことは初めてではない。
2011年、Harperさんは、パリの南方、約1時間の距離にあるBachiviller地方にて、 Chateau Tilleraiの庭園を描くといった特別な経験をしている。 そこは メアリー・カサット(有名な19世紀のアメリカ人画家。偶然にも彼女もまたパリで絵画を学び、描くためにアメリカを離れた) が1891年から1893年にかけて住居し、仕事をした歴史的な建築物であった。
「その合成的な庭園の美しさは非常に感動的で、私の芸術にとって大きなインスピレーションになりました。 つまり、意義深いテーマに取り組んだ活動を通じて、他の高い評価を受けている庭園の美しさも表現してみたい、と思ったのです。」とGianneさんは言う。
彼女は最近、南フランス沿岸部のLeLavandouとStTropezの間にある、50エーカーもの 公共庭園-ドメンヌ・デュ・ライヨルに建つ住居から移ってきた。 そして来年、ロサンゼルスのデスカンソ植物園におけるグループショーに参加し、 またイタリアにあるThomasHanbury庭園内の邸宅でも絵画の制作を行う予定だ。 これらは、皆が一生のうちに一回は行きたいと願うような、世界で最も美しい場所である。
Harperさんはメッセージ性のあるアーティストである。
地中海気候の土地の特性をそのまま生かしている、すべての庭園の美しさを分かち合い、
自生しない植物を育てることは水の無駄遣いにつながっているという事実を発信したいと思っている。
「わたしは単なる風景画家ではありません」
と彼女は言う。
「何かを伝える風景画家なのです。何かとは普遍的なものです。私が制作する
理由、
それはすでに自然の中に存在しているコンポジションを私なりの方法で見つけ、
確信し、表現することで、壮大な地中海式の庭園を散水せずに維持することが可能だと示したいからです。例えばカルフォルニアでは、水の消費量の70%が
水生植物や芝生の育成に使われています。
一方、私は乾燥した、水が最も貴重な資源となっている地中海気候下で仕事を
しています。
私の作品から、乾燥地域における特別な美しさや水を大切にする庭園、そう
いったものへの
熱望が生まれることを期待しています」
Harperさんは現在、その才能とメッセージをサンクレメンテに持ち込み、 カーサ・ロマンティカの自然庭園をそのユニークなスタイルで表現している。 この3ヶ月間、忙しく、地面のいたるところに大きなキャンバスを立て、 庭園のあるがままの姿を描いている。
Harperさんの作品は
5月11日から6月10日まで、カーサ・ロマンティカ文化センターで開催される
彼女の作品展「IntheGardenoftheCasa」にて展示される予定だ。
これは地域の財産であるその場所を訪れる絶好の口実となるであろう。
最後に、サンクレメンテはHarperさんにとってワールドツアーの中の単なる一か所ではない。
彼女が誇りに思っている両親がサンクレメンテに住んでおり、
彼女の父親、JimReissさんの大きなバリトンの話し声がその地域のキワニスクラブ
から聞こえてくるのだ。
SPRING 2013 San Clemente Journal
マダム・ジジ プロフィール

狩猟で有名な、ロワール地方、ソーミュールにほど近い「レ・ゾーベール」の森を所有する貴族、ド・ジュヌブライ伯爵夫人として消えつつある18世紀貴族の暮らしを今に残す生活を続けると同時に、アーティスト名、ハーパーでプロの画家としての制作も続けている。アメリカ、ヨーロッパ各地から個展を開催する傍ら、「SUNDAY」等のアートブックを出版。1990年、アメリカン・アカデミー・オブ・ローマ招聘アーティスト。
また、アメリカ独立戦争に関わった家族の末裔が中心になる活動「DAR」やロワール地方で毎夏開催されるイベント、オペラ・ボウジェ、等、音楽家や芸術家のパトロナージュを募る各種団体でメセナ活動を行っている。
『マダム・ジジに教わる〜フレンチ・マナーなおもてなし』
「Bon Chic vol.2 (別冊PLUS 1 LIVING・主婦の友社) 2010年3月」
『フランス的美生活』
「グレース(世界文化社)2007年10月号」
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