• マダム・ジジからの手紙

    フランス・ロワール地方の古城に暮らす伯爵夫人、マダム・ジジからプティ・セナクルへ届いたメッセージをご紹介しています。

    ”Why the Choice of Beauty?”

    2011年8月17日

    10月の第1週、第2週にBachivillers(バシービエ)で開催されるわたしの展覧会に向けて、プレス向け資料の一部として用意した文章をお送りします。

    Bachivillersは、Marineの町が近く、オワーズ県のピカルディ地方にあり、パリ から西へ車で1時間のところにあります。
    土曜日の晩にはドリンクを、日曜日には冷菜をわたし自身が提供する予定です。 またメアリー・カサットについての会議も行われます。

    ハードコピーの招待状を希望する方はご住所をお知らせください!
    glanneharper.com

     

    ”Why the Choice of Beauty?”

    今日における芸術家の役割は、社会的、政治的不正への懸念、ある出来事や置かれている状況に対する感情的な反応、または人間が歩んできた進歩の過程でのこうしたすべてのことを要約し視覚化することです。

    現在の芸術は、わたしたちの状況に関連して、主にそのネガティブな面を表現しています。具体的には、挑発と破滅、風刺と疑惑を払拭しようとする政治的な意図、個人や集団の死と喪失、貧困、抑圧などです。

    ここでわたしには問いかけたい疑問があります。 “なぜこのような傾向が20世紀前半から今日までの長い間、現代アートの世界を 支配してきたのでしょうか?” 芸術が大衆的になったから? あるいは、人類が原子力ですべてを破壊する可能性があるからでしょうか?

    もちろん、芸術家がこれらネガティブな題材を背景にして表現するのは重要なことです。しかし、わたしたちのポジティブな面を表現する芸術家はどこにいるのでしょうか? 白と黒、昼と夜など、すべての人生には両面があり、芸術はそれらすべてを横断的に表現すべきです。

    わたしたちの明るい部分を讃えることはできないのでしょうか?

    ネガティブな事柄とまったく同じように、美しさは明白で必要なものです。では、どうしてこのようになってしまったのでしょうか?

    わたしは身のまわりの美しさを描くことにしました。

    “花はこれといった理由がなくても存在しているというただそれだけのことで、 無償の美しさを示すシンボルになっています。それを視さえすれば、その美しさ に浸ることができます。”
    Catherine de B

    自然界では美はいたるところに存在します。生活を送っていく中でそれらを“視る”だけでよいのです。 これはコンテンポラリを超えたリアリティなのです。

    “写真という技術によって、「より対象に迫って視る」といった考え方をがもたらされました。あなたの場合、静物画が該当するでしょう。20世紀、21世紀の人として、あなたは「カメラの眼」で視ているのです。わたしたちは写真技術を当たり前のものとして、日々の生活をおくり、成長してきました。よって「カメラ の眼」はわたしたちの眼にとって普通の代用品であり、その逆もまた同じです。 あなたがカメラの眼 - レンズを持っていると言っているのではありません。こ れはあなたが既に身に付けている「物の視方」なのです。”
    パトリシア レビン(Patricia Levin)
    展覧会キュレーター (学芸員) ロサンジェルス、カルフォニア

    わたしは写真家になったつもりで絵を描いています。対象を前にしてそれをトリミングし、それに光を照らし、その構図を組み立てています。 写真家の視点を持つことにより、 この方法をさらに押し進め、また対象のどの部分が色あせてしぼんでいくかを把握できます。そしてメアリー・カサットに親近感を感じています。なぜならメアリー・カサットは当時既に、大切な友人であるエドガー・ドガと共に写真技術の 重要性を理解しており、そのため斬新な構成を排除しようとアカデミックな絵画 が押し付けてくる画家の慣習から距離を置くことができたのです。

    美しさはほんの一瞬のうちに、たったひと筆やカメラのシャッターを押すだけで捉えられるのです。その瞬間と感動を是非あなたと分かち合いたいと思っています。

     

    gigi

    マダム・ジジ プロフィール

    GIANNE DE GENEVRAYE (ジャンヌ・ド・ジュヌブライ)

    狩猟で有名な、ロワール地方、ソーミュールにほど近い「レ・ゾーベール」の森を所有する貴族、ド・ジュヌブライ伯爵夫人として消えつつある18世紀貴族の暮らしを今に残す生活を続けると同時に、アーティスト名、ハーパーでプロの画家としての制作も続けている。アメリカ、ヨーロッパ各地から個展を開催する傍ら、「SUNDAY」等のアートブックを出版。1990年、アメリカン・アカデミー・オブ・ローマ招聘アーティスト。

    また、アメリカ独立戦争に関わった家族の末裔が中心になる活動「DAR」やロワール地方で毎夏開催されるイベント、オペラ・ボウジェ、等、音楽家や芸術家のパトロナージュを募る各種団体でメセナ活動を行っている。

    マダム・ジジのウェブサイト

     


    『マダム・ジジに教わる〜フレンチ・マナーなおもてなし』
    「Bon Chic vol.2 (別冊PLUS 1 LIVING・主婦の友社)  2010年3月」


    『フランス的美生活』
    「グレース(世界文化社)2007年10月号」


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