• マダム・ジジからの手紙

    フランス・ロワール地方の古城に暮らす伯爵夫人、マダム・ジジからプティ・セナクルへ届いたメッセージをご紹介しています。

    トスカーナ、ニキ・ド・サンファル「タロット・ガーデン」

    2016年10月21日

    親愛なる皆様

    今月、ローマから40kmほど離れたイタリア - ラティーナに来ました。Ninfa庭園にあるレジデンスで創作活動をはじめ、12月まで滞在する予定です。 友人であるNicole Durandの提案で、コートダジュールからの長いドライブの途中、ひと息入れるためにTarot庭園に立ち寄ることにしました。そこはNiki de Saint Phalleが1979年から1996年にかけて創った庭園です。土砂降りの嵐の中を運転し、ようやく人里離れたトスカーナ州のGaravicchioに到着したとき、私はNiki de Saint Phalleの作品のファンではなく、気に入ることもないだろうと認めざるえませんでした。

    しかし、その庭園は驚くべきものでした!

    私の心をとらえたのは、プロジェクトの規模と全て手作業によって作られたということです。これは彼女がもっとも重要であり、かつアート作品に価値を与えるものと考えていたことです。一方、アート界のマスコミはカメラにピストルを向けた作品(Nouveaux Realistes period)や空中で踊る陽気で誇張された彫像"Nanas"など、彼女の一部のよく知られた作品のみを扱ってきました。そのため彼女は庭園で活動し、資金を使い果たすと、彼女が一般的に認知されている典型的な彫像作品を売るために展覧会を開催して資金を調達していました。そこで調達した資金はそのままTarot庭園につぎ込まれたのです。

    この庭園が持つ意志の強さや粘り強さ、物質的な存在感に強い印象を受けただけでなく、この巨大なモザイクインスタレーションの人目を引く、想像を絶する美しさは無限と本当に自由な創造性を示していると感じたのです。それはほとんどまるで一つのモザイクのデザインが無意識に次のパターンへ連続的につながっているようです。その一つ一つが、固定観念や嘲りへの恐れ、受け入れられないことへの恐れからの脱却を示しています。庭園の詳細は、こちらのサイト(http://ilgiardinodeitarocchi.it/en/)を参照ください。

    この庭園で、1990年後半にパリのBeaubourgで観たピカソの最後の肖像画を思い起こしました。ピカソは子どものアートがもつ無邪気さと純粋さから大人の複雑さへと発展し、最後にはまた一巡して、子供の空想的な純真さを保ったまま技術的にも成熟したアートに到達したのです。

    来月は魅惑的なNinfa庭園での最初の作品をお届けします。


    Gianne

     

    マダム・ジジ プロフィール

    GIANNE DE GENEVRAYE (ジャンヌ・ド・ジュヌブライ)

    狩猟で有名な、ロワール地方、ソーミュールにほど近い「レ・ゾーベール」の森を所有する貴族、ド・ジュヌブライ伯爵夫人として消えつつある18世紀貴族の暮らしを今に残す生活を続けると同時に、アーティスト名、ハーパーでプロの画家としての制作も続けている。アメリカ、ヨーロッパ各地から個展を開催する傍ら、「SUNDAY」等のアートブックを出版。1990年、アメリカン・アカデミー・オブ・ローマ招聘アーティスト。

    また、アメリカ独立戦争に関わった家族の末裔が中心になる活動「DAR」やロワール地方で毎夏開催されるイベント、オペラ・ボウジェ、等、音楽家や芸術家のパトロナージュを募る各種団体でメセナ活動を行っている。

    マダム・ジジのウェブサイト

     


    『マダム・ジジに教わる〜フレンチ・マナーなおもてなし』
    「Bon Chic vol.2 (別冊PLUS 1 LIVING・主婦の友社)  2010年3月」


    『フランス的美生活』
    「グレース(世界文化社)2007年10月号」


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